私がセブに何度も行く理由

セブ島に行くたび、友人や周囲からは「またセブ行くの?」とか「なんでそんなにセブ好きなの!」とか、よく聞かれます。
確かに、フィリピンだと7,000以上もの島があり、涼しい高原都市のバギオや、真っ白な砂浜と透明な海が広がるボラカイ島のようなリゾート地などもあります。
私的に、何か惹かれるものがセブにはあるんだと思っています。
何度行っても飽きない場所で、むしろ何度でも行きたくなる場所なんですよね。
自分でも明確な答えを見つけようと思って、今回あらためて、自分なりにセブの魅力や好きなところを振り返って、言葉にしていきたいなと思います。
私が初めてセブ島を訪れたのは25歳のとき、仕事を辞めて時間ができた冬でした。
セブには、成田空港から直行便で約5時間半。到着するのはマクタン島にあるマクタン・セブ国際空港です。
空港の建物は少し年季が入っていて、日本の空港と比べると設備も質素で、到着してまず感じたのは空気の重さとにおいでした。
湿気が多くて、空気がもわっとしていて、なんか別の世界に来たな、と思ったのを覚えています。
とにかくセブの街はごちゃごちゃで、車とバイクとジプニーが縦横無尽に走っていて、クラクションがずっと鳴り響いている。信号はほとんど機能してないようにも見えるし、車線とかあってないようなもの。
でも、不思議とすぐにこのカオスな状況に慣れてしまって、むしろ、ちゃんとしていない感じに居心地の良さみたいなものを感じました。
日本での日常では、電車は時刻通り、スケジュールはきっちりしっかり、遅れや混乱は絶対にNG。
でもセブでは遅れるのが当たり前で、それを責める人もいなくて、なんとなくみんなで助け合って過ごしているように感じました。
「なんとかなるよね」っていうこの空気に、私は何度も助けられてきました。
ただ気楽になれるというだけでなく、「そういうふうに受け止めてもいいんだ」と自分の考え方の幅が少しずつ広がりました。
これまで、仕事でも人間関係でも、こうしなきゃ!とつい力んでしまうことが多かった私にとって、それは自分の考え方を見直す大きなきっかけになったんですよね。
こうした、肩の力が抜けるような体験の一つが、私にとってのアイランドホッピングです。
アイランドホッピングとは、小さな船に乗って周辺の離島を巡るアクティビティで、セブ旅行では定番中の定番です。

目的地はその日によって違いますが、ナルスアン島やヒルトゥガン島など、海の透明度が高いスポットがあります。
どの島も船でしか行けない分、ちょっとした旅感があって、その分、到着したときの景色が深く心に残ります。
その日、ナルスアン島に行く予定が、当日の朝、天候の関係で急きょ別の島に変更されちゃった時があって。
現地のスタッフが、こっちの島の方が今日は調子いいよ!とすすめてくれて、なんとなくで決まった島に行くことになりました。
結果、たどり着いた島は、観光客もかなり少なくて静かで、水の透明度が信じられないほど美しく、たまたま出会ったローカルの家族とビーチで一緒にBBQをすることになったりで・・・
予定通りにナルスアン島に行っていたら、この体験はなかったと思いますが、セブではこういう“偶然”がよく起きるから楽しいんですよね。
思っていた通りにいかなくても、不思議と全部がちょうどよくて、楽しい!そのときどきの流れが自然でなんかこれでよかったんだなって思える体験がセブではできます。
そういう経験を何度かしてから私はセブではあまり「計画通りに動くこと」を重視しなくなりました。
近くでカフェを探す時も普段なら、Googleマップで星の数がいいところのお店を調べて、効率よく巡るのが一般的でしたが、セブではたまたま通りかかった小さな屋台で飲んだマンゴーシェイクとかの方が、なんか記憶に残ります。(笑)
お店の名前もわからないし、椅子もガタガタでも、地元のお兄さんが「ここがフィリピンで一番だよ!」って笑って出してくれたジュースがおいしく感じちゃって、ああ、今旅してるなって実感します。
探して見つけた、じゃなくて、たまたま出会ってしまった!そんな瞬間のほうが、あとからずっと心に残るなと思いました。
小さい頃って、だいたいそうじゃなかったですか?
どこへ行くかは親が決めていて、自分で何かを選んでいたわけでもないのに、ふとした場面がやけに記憶に残っていたりする。
近所の公園に行ったはずが、途中で寄り道して見つけた空き地に夢中になったり、道端で出会った知らない子と一日限りの親友みたいになったり、駄菓子屋の前で何を買うか30分も悩んだり。
どれも、大人になってから思い返すと、たいしたことじゃないのに、不思議と思い出に残ってたりします。
セブで過ごす時間は、そういうあの頃の感じを少し思い出させてくれるんです。
ちゃんと計画を立てて動くというより、「たまたまそっちを選んでみた」とか「なんとなく流れに乗ってみた」という感じで、その日一日の景色や出来事が決まっていくのがセブの遊び方かなって思います!
なぜ何度もセブに行くのかと聞かれたら、毎回同じ場所を訪れているのに、なぜか同じ旅にはならない。
セブでの旅は、そういうふうに少しずつ違う「何か」があって、それにまた出会いたくて何度も足を運んでしまうんだと思います。
同じ場所にいるのに、毎回違う人に出会い、違う気づきがあって、どれもがこれでよかったなと思える不思議な時間になっていくんですよね。
セブは、私にとってなんでもない自分でいられる場所で、効率じゃなく、予定通りじゃなく、そのときの流れのままに過ごすことができる。
だからきっと、これからも私は何度でもセブを訪れると思います。